TOP > 研究室紹介 > 小林研究室

研究室紹介

研究室活動の最近のブログ記事

 最大風速約50m/sまで出せるゲッチンゲン型の大型風洞を使用して、航空機の空気力に関わる実験的研究も実施しています。
 この実験で得られた空気力データを本研究室で改善した揚力線理論による解析結果と比較検討を行いつつ、下記の二つの研究アイテムに注力して研究を進めています。

 1. 編隊飛行中の翼に働く空気力(6分力)特性の把握とその推定法の確立
 2. 後縁フラップなどの高揚力装置の揚抗特性と後縁渦との関わりの把握と高揚力性能の改善

 前者については相良翔太朗君が、後者
については田宮和貴君が担当して研究を進めています。両君とも航空宇宙学専攻の4年生です。

DSCN0963-3.JPG

飛行計器板.jpg

 航空機の速度が低くなっていくと、その飛行性(操縦のし易さ)は劣化していきます。縦運動だけでなく横方向運動においても同様に、低速化に伴いパイロットはタスク遂行に困難さを感じるようになります。

 パイロットはバンク角を制御しながら方位角や横経路をコントロールしています。そういう意味でバンク角制御のし易さは重要であり色々と研究がなされていますが、そのバンク角を介して方位角や経路を制御するタスクを遂行する難易さにはさらに複雑な要素が組み込まれています。
 それら各要素の方位角コントロールに与える影響について解析と小林研のフライトシミュレータを用いて研究しています。
 担当は航空宇宙学専攻の卒研生「三樹貴史」君です。

方位角制御ブロック図.jpg

ShortPeriodSpec.png パイロットはピッチ姿勢やバンク角などの飛行姿勢を操りながら、航空機の飛行経路や飛行速度をコントロールしています。姿勢コントロールの良し悪しは航空機の操縦性の基本になります。

 本研究はパイロットによピッチ姿勢のコントロールについて、特に低速飛行域での問題について、焦点を当てています。右図は航空機を開発設計する際の飛行性設計基準として使用されている米軍規格MIL-F-8758Cにおける縦短周期振動モードに対する基準です。

 縦短周期モードはピッチ姿勢コントロールに最も大きな影響を与えます。右図の縦軸はその振動モードの固有各振動数で、横軸は迎え角変化に対する垂直加速度発生の割合を示すパラメータですが、これは飛行速度の2乗に比例します。図中に橙色を塗った領域がパイロットにとって操縦上満足できる縦端周期特性の領域であることを示しています。固有各振動数に上限と下限があることの他に、低速域でも操縦しにくくなることを示しています(赤色の破線で丸く囲った部分)。 

 この低速域でのピッチ姿勢コントロールの問題を明らかにすべく、小林研の研究用フライトシミュレータを使用して研究しています。下の写真はその実験の様子で、飛行性評価パイロットはDC-8やB-767のキャプテンや教官パイロットを勤めた本学の武田攻良客員教授です。

 本研究の成果については10月27日の日本機械学会山梨講演会(甲府市)にて「中丸拓海君(航空宇宙学専攻4年生)」が講演発表します R0011455.JPG

夏の暑さをぶっ飛ばせ!-- 懇親会開催 --

小林研懇親会20120803.jpg 前期期末試験が終わり、再び卒業研究に戻ってきたところで、研究室の懇親会を開催(8/3 本厚木駅前の魚民にて)。

  卒研生(4年生と3年生)が勢揃いし、研究活動に協力して頂いている武田、根本、水野の3先生にも参加して頂きました。

  食べて飲んで、話して笑って、楽しいひとときを過ごし、明日からの活動に向けて活力も一杯養いました。

(写真撮影は根本先生)

 小林研では航空機の飛行に関わる空力特性、安定操縦性、飛行性などの領域を研究テーマとして扱っています。解析に加えて、フライトシミュレータや風洞を実験装置として活用して取り組んでいます。第1回目の研究紹介として「揚力線理論の解析に関する改善研究」につ揚力線-渦モデル.jpgいて紹介します。

 航空機のように翼幅が有限な翼(3次元翼という)が発生する揚力は翼幅方向に変化しています。揚力線理論は翼を一本の線(揚力線という)に置き換えて、この翼幅方向の揚力や吹き下ろしを解析するものです。翼理論の中では簡易な解析法ですが、とても有用で幅広く利用されている理論です。

 一様流の流れ(速度V)の中で翼まわりに渦(束縛渦、渦の強さを循環Γという)を発生させると翼に揚力(単位長さ当たりの揚力をL'とする)が発生します。この事象はクッタ・ジューコフスキーの定理と呼ばれています。
    L'=ρVΓ (ρ:空気密度)
 通常の航空機のように、翼幅が有限な翼(3次元翼あるいは有限翼)では、翼幅方向の揚力分布、すなわち、循環分布が一定ではなくなります。

  この翼幅方向の循環変化分dΓが後流渦となって後方に流れていき、翼部(揚力線上)に吹き下ろしwを発生させます。この吹き下ろしが翼に向う流れの方向を変え、有効な迎え角αeを減少させることになり、結果として揚力や循環が翼幅方向に変化しているわけです。
 このような循環する事象の釣合い状態を計算するのが揚力線理論です。この解析では吹き下ろし分布から誘導抗力Diについても値を求めることができます。(誘導抗力は3次元翼において揚力発生に伴って発生する抗力です)。吹き下ろしと誘導抗力.jpg

 ただ上記の揚力線理論では後流渦が翼から後流に流れていっても(即ち時間が経っても)減衰しないとしてしています。小林研では流れの粘性効果を組み込むために後流渦に減衰する渦モデルを適用して数値的に解析することを行っています。
 これによって、流れの粘性効果を示すレイノルズ数による影響を計算することができるようになります。また、単独飛行だけでなく、編隊飛行ししている翼の揚力、抗力など空力特性を計算する際にも有効に活用できます。

 8月24日の日本機械学会 茨城講演会(日立市)にて、「池田優介君(航空宇宙学専攻4年生)」が本研究の内容を講演発表します。

春休みは今、特訓実施中

 小R0011316 (1).JPG 春休み期間は実力アップの好機!。

 新年度4月からの小林研ゼミ生として7名が仮配属されていますが、7名全員が新4年生となる航空宇宙学専攻の第1期生の諸君です。

 小林研では、新年度からの卒業研究開始に向けて、この2月と3月は主体的な勉強会また勉強会と特訓が続いています。

 勉強会での学習内容は下記項目で、これまでの授業よりもより深くより実践的な内容にしています。

  ●航空機運動と制御、
  ●航空機の飛行性設計基準
  ●航空機の空力特性推算
  ●飛行シミュレータ
  ●信頼性工学小R0011329.JPG

なお、「信頼性工学」はどの分野の航空宇宙技術者にも欠かせないものですので、この集中講義(1週間)については小林研以外の航空宇宙学専攻第1期生にも参加を開放しています。

 ゼミ生諸君は、これらの学習と並行して、各自の卒業研究のテーマ内容について議論を深め、助走を始めるなど、気合が入っています。

  卒研テーマは解析と飛行シミュレータを用いた「低速飛行時の縦操縦性の劣化」や「複数横方向モードと操縦性」などの研究、解析と風洞試験を用いた「編隊飛行時の空力特性」や「高揚力装置の効き改善策」、また、「ある特殊滑空機の飛行特性推定」などです。
 個々の具体的な卒研内容については後日、適宜お知らせしたいと考えております。 

Tokkunshinnrai.JPG

 

ダウンバースト実験-写真-2011-9-16-No.5-No.2.jpg 局所的かつ急激な下降気流を生み出すダウンバーストは航空機の飛行安全を脅かす原因の一つになっています。
 小林研では過去にも行ったことのある「ダウンバーストを室内で再現する実験」を再び取り上げ挑戦し始めました。ダウンバーストが地上にぶつかった後の空気の流れ状態を観察して、航空機運動への影響を調べる基本データを取得したいと考えています。卒研として古泉美和子さんが担当しています。
 左の写真はその実験の試みの一例です。

 

 下の写真は小林研でシステム構築中の研究用フライトシミュレータの様子です。外部視界用スクリーン間の継ぎ目を多少目立たないように改善したものです。8月のオープンキャンパスで披露いたしました。視野角の広さと操縦特性との関わりについての研究を始めるとともに、システム構築では今後、コックピットの製作を試みる予定です。田口雅勝君が卒研として担当しています。
FST5screen-2.JPG 小林研の卒研には、他に二つの研究が走っています。一つは、鳥や航空機の編隊飛行時における空力特性、特に誘導抗力と揚力分布、の特徴についての研究です。これは金子佑哉君が担当しています。もう一つは、操縦中にパイロットがどのような姿勢で飛行しているかが正しく認識できなくなる空間識失調(Vertigo)の基礎研究としての、斜面台を用いた人間の空間認識に関する基礎実験です。東啓介君が担当しています。
 これらの研究の状況についても、後日報告したいと考えています。

JAXA「調布航空宇宙センター」見学

 2月25日(金)東京都の調布市と三鷹市にあるJAXA調布航空宇宙センター(分室を含む)を見学させていただきました。
 JAXAとして統合される以前には科学技術庁の航空技術研究所(その後航空宇宙技術研究所)であったところで、航空機開発技術にかかわる研究や設備が充実しています。私(小林)にとっても哨戒機PX-L,可変特性研究機P2V-7VSA、STO実験機「飛鳥」、宇宙往還機HOPEなどの開発で風洞試験やフライトシミュレータ試験などを行ってきた思い出深いところです。
 説明やお世話をしていただいたJAXA関係者の皆様にお礼申し上げます。

JAXA見学-1.jpg

         実験航空機(ヘリコプタ)MuPal-εの前で集合写真・・・。

 

 以下のスナップ写真は展示室(小型超音速実験機の前)、YS-11コックピット、エンジン研究室、複合材研究室・・・です。 JAXA見学-3.jpg

卒研発表そして研究室親睦会

sotsuken-1.jpg

   卒研発表会(2/14)で、小林研からは「編隊飛行による誘導抗力の変化」と「航空機の重心移動と運動安定限界」に関する研究内容を発表しました。 発表前の緊張感に加え、発表後の解放感と充実感は格別の味であったようです。

 

 

   卒研発表のあと、4年生から研究を引き継いでくれる新しい後輩(3年生)に、研究の詳細やシミュレータと風洞の使用法などノウハウを説明しました。 

  
左の写真:
編隊Koba2011-2-14-5.JPG飛行時の誘導抗力の研究において使用している「風洞」です。回流部の洞が測定部の上部にある縦型のゲッチンゲン型風洞です。最大風速50メートル/秒の風の中で、翼などのまわりの流れ状態の観測や、翼などに働く空気力の計測ができます。来年度はこの風洞を多用することになります。



 

kompa-1.jpg

  卒研発表を終えその解放感が消えないうちにということで、
小林研ゼミの全員が集まって親睦会を開催しました(2/16):
 場所は本厚木駅付近の居酒屋チェーン店。

楽しく語らいながら、
4年生は卒研生活を振り返りかつ新しく飛び立つ社会に胸をときめかせ、3年生は卒研と就活に向かって決意を固める決起集会ともなりました。

夏休み期間中の卒研ゼミ スタート!

 

ゼミ2010-8-2 001.JPG  いよいよ夏休みに突入。今年の夏は例年にない猛暑ですね。小林研は休み期間も卒業研究を進めていきます

 本日8/2はその初回ということで、気持ちも新たに、当大学の基礎を創られた中部幾次郎先生と中部謙吉先生(初代理事長)の記念碑の前で、記念写真

 その後、大学近くのレストラン「夢庵」で食事をしながら、今後の卒研方針について話し合いました


ゼミ2010-8-2 003.JPG今後は次の二つの研究プロジェクトを4人で力を合わせながら挑戦していきます. 
 
(1)  紙製ハニカム構造の主翼製作と、それを用いたパラグライダor/and飛行機の飛行特性研究。
 (2) 航空機の運動解析システムと研究用シミュレータの開発と、それらを用いたFlying Qualitiesの研究。