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                       工学部機械工学科 矢田研究室

2012年度の日本地震学会において、「地震の予知は現在の科学技術では不可能である。」との見解が示され、多くのマスコミにおいて、その見解についての議論が沸き起こりました。本学機械工学科・矢田研究室では約20年前より地震の前兆現象の把握、すなわち地震予知を目的として、熱物性の計測で培った技術を応用した地震前兆現象の計測に取り組んできました。

当初は、本学棚沢グラウンド(厚木市字棚沢)にて4箇所(計8個)の電極を地中に埋設して、地電位の計測を行いました。また、地電位の計測の数年後には、「地震といえばナマズ」ということで、ナマズの行動を定量的に測定して実際に発生した地震と比較するという研究も始めました。このナマズに関する計測は、今も引き続き研究室で行われており、現在はナマズだけでなく、肺魚(肺呼吸する魚)、ネコ、スナネズミ、ヘビを研究室で飼育しながら、発生した地震と計測したそれぞれの動物の動きを検討・分析しています。そもそも地震の予知に関しては、テレビやラジオの電波や電磁波の異常、GPSや地傾斜データによる地盤の動き、潮位や海水面温度の変化などの科学的な計測結果を根拠として地震の発生を予測しようとする動きが世界的に主流ですが、「東日本大震災」を十分に予測できなかった現状を省みて、それ以外の方法での地震予知も注目を浴び始めてきました。

そのような現状において、矢田研究室(NPO法人e-PISCO)の研究グループによる動物の行動に基づく地震予知は、にわかに注目を浴びてきました。4年前の東日本大震災以降は、日本はもちろん、イギリス、ブラジル、サウジアラビアなどのテレビ局も、動物による地震予知を目指す我々の研究テーマには非常に興味を持ち、地元および世界的に研究成果を報道していただいた。インターネットの発達、検索機能の充実により、世界的に自分たちの研究成果を発信することが可能であることを、これらの取材では実感することができました。また2013年度に入ってからも、国内のテレビ番組や雑誌などが動物による地震予知を採り上げてくれています。

矢田研究室では、動物による地震予知の試みだけでなく大気イオンの継続測定による地震予知の研究も行ってきているが、その測定機器は高価なため、多くの方に計測の協力をお願いすることは難しいのが現状です。様々な科学的な計測に基づいた地震の予知に関する研究は、それぞれある程度の成果は確認されているものの、未だに精度が上がらない原因は、広範囲で計測を実施できないことにあります。矢田研究室では、全国的に多くの方々にご協力をいただき、市民レベルで安価に地震の予知の実現を目指すべく、動物の行動計測による地震予知ネットワークの確立を進めつつあります。

ナマズに限らず小鳥や熱帯魚などの動物の行動を定常的に測定してもらい、みんなで地震の予知に挑戦しようとする運動が、現在までに北は北海道から西は北九州市まで、矢田研究室を中心として拡がりつつあります。2013年度もその成果の一部を、学会(日本動物行動学会)で発表するとともに、より多くの方々にご協力をいただけるように、マスコミなどを通じて協力していただける方を募集中です。この文章をお読みいただいた方で、協力が可能な方は是非とも矢田研究室(namazu@kait.jp)まで御連絡をください。

地震予知は、地震大国日本にて生活する誰もがその成果を期待している研究テーマです。電磁波や大気イオンの計測などの科学的根拠に基づいた地震予知が上手く実用化されていない現状では、身近にいる動物たちの力を借りて地震予知を進めていくというのも一つの解決策ではないかと考えています。


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図1 朝の報道番組で紹介されたネコ


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図2 7年間地震の予知に使用されてきたナマズ


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図3 過去の地震では事前に大きく動いた肺魚


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図4 は虫類の代表として地震予知に挑戦中のヘビ


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図5 小さいながらも挑戦中のスナネズミ兄妹


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図6 癒し係も兼ねるネコの兄妹