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機械工学科 鳴海研究室


現在、低温保存技術は、食品,医療などさまざまな分野において重要な役割を果たしている。近い将来、世界人口の爆発的増加および地球温暖化による異常気象の頻発化から懸念される食糧危機を考えると、低温保存技術の役割は益々重要となってくる。一方、夢の低温保存技術とは、生きた状態を保ったまま生体材料を菌が活動できないほど低温で氷結晶を形成させずに保存する技術と言われている。しかし、一般的に生体材料は多くの水を含んでおり、冷却の進行に伴い、突然過冷却解除し、細胞外を経てやがて細胞内凍結に至る。この際の氷結晶が不可逆的な細胞膜損傷を引き起こし、細胞を死に至らしめると言われている。現在のところ、この過冷却をコントロールする技術は実現できていない。当研究室では、細胞膜のダメージを低減する手法の開発を目標とし、低温顕微鏡に高速度カメラ、冷却CCDカメラを取り付け、微小エネルギーを負荷しながら、生きた細胞として植物を用い、細胞外から細胞内凍結に至る過程を高速度カメラで観察し、それらの画像から氷結晶成長による細胞へのダメージ評価を試みてきた。その結果、電流負荷により細胞内凍結が生じる際の氷結晶が微細化し、その成長速度も緩やかになること、および細胞内凍結開始温度がより低くなることがわかった。また、電流負荷は冷却の進行に対して起こる細胞活性度の指標である細胞内pHの低下を抑える役割を果たすことがわかった。現在は、電流を負荷した新たな低温保存技術の実用化に向けての研究を進めている。



図1m.jpg

      図1 電流負荷した場合としない場合の細胞内凍結挙動(冷却速度1/min


図2a.jpg図2b.jpg         (a) 電流負荷なし                  (b) 電流負荷あり

2 蛍光強度比分布(赤>pH>青、冷却速度1/min


図3m.png

  図3 電流負荷によるpH低下の違い(冷却速度1/min